「MIYAKO」誕生まで~その1
私は、子どものころから一緒に暮らしていた母方の祖父母が大好きで、いつも川の字の真ん中で寝ていました。また祖父とはよく出かけました。私は、神社仏閣の庭を見たり、美術館や博物館を見たり、仏像の顔が好きなのも、そのせいではないかと思います。そして、縁側に座って障子からこぼれる光と陰やの美しさは、幼いころから感じていました。(もちろん緑茶とお菓子のセットの味も夏は蚊取り線香のにおいもよく覚えています。)
これは、京都に行ったときにとった写真です。紅葉もいいですが、その奥の障子・そしてさらに奥の垣間見える庭。日本人でよかったなぁと思う瞬間です。同じ風景なのに、柱や壁で切り取られた庭や建物の美しさを感じていたのも振り返れば祖父と一緒に縁側でお茶をしていたあのころからだと。記憶の片隅にある会話と共に割と鮮明です。
欄間などに使われる組子細工や伝統的な彫刻は、ずっと興味がありました。だいたい、これを作った職人さんはすごすぎるなぁと思っていました。(余談ですが、小学三年生の時水疱瘡にかかり、寝ていた時天井の模様も嫌になるほど見たし、欄間の彫刻はずっと眺めていました。)
単に美しさだけではなくこの美しい組子を一枚の絵を壁にかける感覚で楽しめたらなぁ・・。もっと伝統工芸品の使われ方が変わるのになぁ。とずーっと2015年くらいから思っていました。
新しいものと古いものを組み合わせて何かを作る。東洋と西洋のものをうまく組み合わせる。異素材を組み合わせる。そういうことを考えていました。
田浦の週末住宅の寝室に配置している「MIYAKO」を考えるきっかけとなりました。ギラギラ明るい光ではなく優しい優しい光を後ろから線ではなく面で当てないとと思っていました。寺で見た障子越しの日の光のように。