3月ももうすぐ終わります。春は出会いと別れの季節と言いますが、皆様はいかがでしょうか。
さて、今週は先週の予告通り「Car lover’s home」を掘り下げたお話しの中から壁紙ダマスク柄の話です。
ダマスク柄はシリアの首都ダマスカスからヨーロッパへと広まった、イスラムの絹織物の柄です。
植物などをモチーフとし、14世紀のフランスで「ダマスク柄」が定着したと言われています。
その後バロックといわれる時代になるとこのダマスク柄は最高潮に貴族の間で調度品やファッション生地として用いられるようになりました。
例えば、下記はルーブル美術館で撮った写真ですが、椅子の張地にダマスク柄が使われています。
こちらは、イギリスのウォーレスコレクションの壁紙。
クラシックでゴージャスでラグジュアリーの印象があるダマスク柄。この路線でそのまんまクラシックのインテリア空間に取り入れるのもありですが、マリーアントワネットの時代でもないですし、私の感覚ですと現代のモダンな住宅では、クラシック スタイルになりすぎてしまいます。
今回「Car lover’s home」では寝室に現代的な軽いダマスク柄を使うことをクライアントに提案しました。こちらがその写真です。
イギリスのデザイナーズギルドというブランドのものです。ヴィンテージの雰囲気を持ちながら現代的な雰囲気を醸し出すこの美しく重ねられたプリントダマスク。なんともドマチックでムーディーです。
伝統的なものを現代の雰囲気に合わせて進化させモダンにアレンジしているデザイナーには感服いたします。クライアントは、この寝室でどんな夢を見るでしょうか。
日本人は、リビングやエントランスホールにはこだわりますが、寝室はさほどでもない方もいらっしゃいますが、実はご夫妻(カップル)にとって最も二人の個性が発揮でき、安らぐドラマチックな雰囲気でなくてはならないと私は思っています。壁紙一枚でかなり豊かな空間に変化を遂げることができます。もしもこの背面が無機質な真っ白な壁だったら・・・。私は少し寂しく感じます。
ちなみに、ベッドのヘッドボードが来る部分に窓を平気であけるのは、私的にはものすごいNGです。美しい壁がないとだめだと思って設計しています。
金曜日です。いつもよりゆっくり寝室で過ごされる方もいらっしゃるでしょう。金曜日の素敵な夜をお過ごしください。