私は、クラシックバレエが大好きです。自分自身、幼少期から大学生まで習っていましたし、私の二人の娘も高校生まで、かなりのマジモードでレッスンに励んでいました。
ロンドンを訪れたときは、ロイヤルオペラハウスという素晴らしい劇場で、必ず観劇をしています。一番好きな演目は、『ロミオとジュリエット』。音楽も素晴らしく、ドラマチックな演出が最高です。
バレエでは、「プリンシパル」と呼ばれる主役のダンサーと、「コール・ド・バレエ」と呼ばれる群舞のダンサーたちが、舞台という空間を作り上げています。
プリンシパルはもちろん、ダイヤモンドのように輝く、美しい存在です。しかしながら、コール・ド・バレエの一糸乱れぬ踊りもまた、その舞台には絶対に必要で、誰が欠けても良い舞台は作れません。
さらに言うなれば、その舞台裏で働く人々…メイク衣裳、小道具、大道具、オーケストラなどに携わる人たちの中の、やはり誰が欠けても、良い舞台は作れません。
私は建築やインテリアの現場で、これと同じように考えながら、空間を作り上げています。
クライアントのお好みに合わせて、どう見せるか、どう魅せたいか?を考え、プリンシパルやコール・ド・バレエを演出するような気持ちで空間を考えています。
目を奪うような美しいフォーカルポイントは、プリンシパル。でも、そのプリンシパルは、コール・ド・バレエが一糸乱れぬ美しさだからこそ、映えるのです。
舞台の下では、素晴らしい生オーケストラが演奏しています。素晴らしい仕事をしてくださる日本の職人さんや工務店さんには、いつも感謝の気持ちでいっぱいです。
総合芸術であるバレエ。そんな、幾層にも重なって作られるクラシックバレエの舞台の立体的な美しさを、私はインテリアで目指しているのです。