早いもので、今年最後の投稿になりました。
唐突ですが、私は昔からよく泣きます。そして泣くと赤鼻のトナカイみたいに鼻の先が真っ赤になってしまいます。祖父に「ロン、鼻赤いぞ」とよく言われたものです。
今回は、感激して人目をはばからず、ワンワン泣いたことをお話しさせていただきます。
今年一番泣いたのは、7月のカプリ島で私の名前が呼ばれた日です。
昨年9月、London design et al 社による「THE INTERNATIONAL DESIGN & ARCHITECTURE AWARDS 2022」のラグジュアリーレジデンス- アジアパシフィック部門で日本人として初めて優勝した『House in TATEYAMA』が、さらに今年7月、カプリ島で行われた「ELITE AWARDS2023」のエリートラグジュアリーレジデンス部門でも優勝させて頂いたときのことです。
壇上に向かう途中で涙があふれ出ていました。走馬灯のごとく、いろいろなことがよみがえってきました。「ロン、よくやった!」ふと、亡くなった祖父の声が聞こえてきました。
祖父だけではなく、私を支えてくれている人々——母やいつも一番に応援してくれている大切な人、お世話になった現場の方々、そしてクライアントの方々。レッドカーペットを歩きながら、いろんな人の顔を思い出しては涙涙となりました。
手がぶるぶると震えて、プレゼンテーターに「大丈夫か。大丈夫か」とご心配頂きました。きっとまた真っ赤なお鼻をしていたと思います。
それだけでもありがたいのに、世界をリードする素晴らしいデザイナー達が、「ロン、リョウコ。あなたのプロジェクトは、非常に美しくアメージングだった。我々が絶対に忘れてはならない地球への感謝を感じる」と、コンセプトを読んで理解した上で話しかけてくださいました。インテリアデザインもコンセプトあっての結果なので、この気持ちを理解してくださったことが非常にうれしかったです。
次に泣いたのも、やはり私の名前が呼ばれた日。今年9月の同じアワードで、別案件『House with JAPANESE KURA』がインテリアデザインスキームのグローバル部門で優勝できたこと、そしてまた来年もカプリにご招待頂いたときのことです。
ここでは、クライアントの人生や生き様を建築やインテリアに置き換え、ストーリーを考えるという難題に挑みましたが、ファミリーの絆やマンケイブのデザインコンセプトをしっかり理解して評価頂けたことが何より幸せでした。
ここでも号泣(せっかくプロにメイクしていただいても、毎回目の下が黒くなるほど泣いてしまいます)。このときには、弊社でFF&Eデザイナーを務める廣島弘美も渡英し、ロンドンで共に壇上に上がれたことが何よりの喜びでした。
そして改めて、デザインはノーボーダーで、そこに言語の壁があったとしても、コンセプトやストーリーを含め、デザインは理解されるのだと改めて思いました。
会場で多くの方に声をかけられ、「ロン、あなたのドラマチックなデザインはすごくいいね。すごくセクシーで行ってみたい空間だ。一緒に写真を撮ろう」とお褒めのお言葉を頂きました。そんな方々とSNSでフォローしあえることも、また喜びの一つです。
UK・US・イタリア・北欧の方々は特に、地球の環境問題(サスティナブル)や家族の絆、そして今回のマンケイブのような特殊な空間に対して、深く理解してくださっているなぁと感じたりしました。
昔、『アナザースカイ』という番組がありましたが、私なら絶対にロンドンです。ロンドンに行かなければ、インテリアの勉強をしなければ、今の私はいませんでした。
今年9月、同じアワードのリビングスペース-アジアパシフィック部門で、日本の古い建物を見事に再生させた作品で優勝された、かつての恩師であり、所属する英国インテリアデザイン協会の日本支部創始者のBABID澤山乃莉子氏には、心より感謝と尊敬の気持ちをお送りしたいと思います。
「私の名前が呼ばれた日」それは、神様に感謝しつつ、この賞に恥じないようにもっともっと頑張ろう!と誓った日です。
来年は辰年。私は年女ではありませんが「竜子」「ロン」と、何かと「たつ」に縁のある私ですので、いい年にしたいなぁと願いながら今年最後のエッセイとしたいと思います。
誠に勝手ながら、12/29-1/4までお休みを頂戴いたします。どうぞ皆様、よいお年をお迎えくださいませ。